前にもご紹介したことのある、沢山直した月屋の壁。
実は場所場所で工夫し、趣向をちょこちょこ変えております!
二階の客間、「望月」には浅葱(あさぎ)土。
日本の古色で、藍に近い青色のことを言い、
右側・ノーマルな中塗り土と比べると、少し渋めの仕上がりです。
一階、庭に面したお部屋、「弦月」には黄土(きつち)を。
伏見は稲荷山で採れるものが有名だそうで、
温かみのある黄色が特徴です。
一から作ったお庭の塀、壁は町家っぽくベンガラ土で。
お馴染のベンガラ(酸化鉄。弁柄、紅殻とも)も、
古くから建築に用いられた顔料のひとつ。
かつてインドはベンガル地方から輸入したためこう呼ばれるとの事、
そういえばどことなくオリエンタルな雰囲気。
そして、帳場横の大きな壁は、その名も蛍壁!
鉄粉(少量でも高価な高級品!)を混ぜた土は、
時間が経つにつれ鉄粉が錆び、
蛍の光のように浮き上がってくるという、気長で粋な一品。
月屋で流れる時間と共に味わいを増してゆくのだろう昔ながらの素材、
工法で塗りあげた壁は、私たちスタッフにとっても愛すべき、
楽しみな存在なのであります。
月屋にお越しの際にはぜひ、そんな風に立っている地味な壁達の、
違いやちいさな変化を思い出し、
じっくり楽しんで頂けたら嬉しいです*
錺屋・月屋
女将